中国の裏金、桁が違う

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収賄額170億円で執行猶予付き死刑判決…中国で後を絶たない巨額の汚職事件　鬱積する国民の不満

「史上最大級」とされるのが、収賄額が約291億円に上った頼小民元死刑囚の事件だ。

頼氏は中央銀行である中国人民銀行や金融監督当局の幹部を歴任し、国有金融機関のトップに就任。08～18年、不良債権処理や融資などに絡み、多額の賄賂を受け取ったとして立件された。天津市の裁判所は21年1月、収賄額が17億9千万元（当時のレートで約291億円）に上ると指摘して死刑判決を言い渡し、執行された。中国では汚職は重罪で、罪状次第で死刑もありうる。

頼氏は発覚を恐れて現金で賄賂を渡すよう求めており、保管部屋からは重さにして約3トン、2億7千万元の現金が押収された。金の延べ棒、ベンツなどの高級車、高級腕時計もため込んでいたという。

国営中央テレビの特集で頼氏が「付き合う社長は数億元、数十億元、100億元単位の人間ばかりで、ちょっと金を渡すなんて朝飯前だ。自分が支援してやったんだから（金を受け取るのは）当然のことだった」と開き直る様子も放映され、視聴者の憤りをかき立てた。

長年中国の政治や社会を研究し、「現代中国の腐敗と反腐敗」（編著、法政大学出版局）の著書がある菱田雅晴・法政大名誉教授に中国で汚職が横行する背景について聞いた。

習近平国家主席が反腐敗運動を始めた当初は最高指導部を含めた権力闘争があり、政敵を次々と失脚させた。最近は地方政府のナンバー2、3の摘発が目立つ。習氏が権力基盤を固めて最高レベルの権力闘争が収束する一方、地方レベルでは汚職や権力闘争が続いているのではないか。

中国の腐敗汚職は私腹を肥やすだけでなく、派閥や人脈をつくり上げる役割を果たしている。一方で政治的なライバルに攻撃の材料を与えることにもなる。

中国には伝統的に贈り物をする文化があり、贈る側は相手と濃密な人間関係を形成して便宜供与を期待する。例えば役所で山積みになった申請書類の中で、自分の申請を一番上に載せてもらうためにもお金を払う。申請の待ち時間も買収の対象だ。市民の間でも「プチ腐敗」が根付き、腐敗を生む土壌となる。

中国は未曽有の経済成長を遂げると同時に腐敗もまん延した。高度経済成長期には汚職は政治とビジネスの開発連合を促進し、成長への政治的インセンティブを高める「開発型腐敗」だったと指摘される。だが近年、成長率が低下し、汚職が成長を阻害している可能性がある。

国営メディアが腐敗高官の失脚をさかんに報じるのは“救世主”である共産党中央が地方の「悪代官」を懲らしめる構図を宣伝し、市民の喝采を浴びて求心力を保つ狙いがある。ポピュリスト的で巧妙な手法だ。

一方、報道が事件の詳細や背景など制度的問題に踏み込むことはない。腐敗の根源が共産党一党支配にあるとすれば最大の反腐敗対策は一党支配の見直しということになる。それが受け入れられないなら弥縫（びほう）策を取り続けるしかない。今後も大規模な腐敗が続くならば不満の矛先が指導部に向けられる可能性もある。

なんだよこれ

派手に使えばバレるだろうし、使えなきゃ使えないでストレス溜まりそう