竹島(独島)ってどこの国の領土なの？

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竹折幸男さん　３０年で修理した家具、２５０００点以上

　■カリモク家具　メンテナンス課（６９歳）

　座面の革や布が破れた椅子、角を犬にかじり取られたタンス――。全国各地から修理のために運び込まれた１００点以上の家具が作業場に並ぶ。

　「これは４０年くらい前、こちらは５０年くらい前の商品ですね」

　ひとつの修理にかかる時間は長いもので２週間ほど。いくつもの作業を並行して進めることで、日に５、６点が客のもとへと帰っていく。

　「新品のように傷ひとつない状態に」

　「家族との思い出がつまった傷をそのまま残して」

　家具の状態や依頼主の要望は千差万別だが、どんな依頼も断らず、より長持ちするように修理することを心がけてきた。

　例えば塗装。使い込まれた色を変えないようにするなら、自ら調合した塗料で「８割くらい薄く」塗ると、仕上げのコーティングをしたときにちょうど同じ色になる。

　新品なら機械がきれいに済ませる仕事も、修理の場合は全て手作業だ。「難しいことはさすがにようしませんわ」。すると上司の諏訪啓郎さん（５３）が「いつもそう言いながら結局やってるでしょう」。

　１９４０年創業の木製家具メーカーに入ったのは「家から近かった」から。家具に特段の思い入れはなかったが、営業時代、上司と馬が合わずに退職届を出したのが転機となった。

　慰留された幹部に「ここならどうか」と勧められたのが修理部門だった。当時４０歳。新品をつくるのとは違って、設計図も完成見本もない。しかも全社で１０人ほどの小所帯だ。何をするにも１人で完結させなければならなかった。

　思い出深いのは９５年の阪神・淡路大震災だ。大阪で自身も被災したが、１カ月ほどたつと取引先の家具店や一般家庭から大量の修理依頼が舞い込んだ。

　積み上がった伝票は１メートル以上。どれもひどい状態だったが、「家具の隙間に助けられた」といった手紙と届くと「なんとかしてあげたい」。２０人ほどいた全国の修理職人が集結し、半年かけて全て直した。

　定年後も週３日の出勤を続け、これまでに修理した家具は少なめに見積もっても２万５千点にのぼる。

　後進の指導も託される。修理部門に新たに配属された社員は竹折さんのもとで半年間修業したのち、各地の拠点へ赴く。

　２年前に新品の塗装ラインから転じた植村幸史さん（４９）は「とにかくやってみろと言ってくれる。緊張せずに質問できるのがありがたい」。一方で新商品が出ると自ら若手に話しかけ、情報収集を怠らない。

　修理代はときに１０万円を超える。新品を買ったほうが安い場合も多い。「それでも直して」と頼まれるのは、自社の家具に愛着をもってもらっている証しだ。

　ファストファーニチャーとも呼ばれる大量生産の安い家具が人気の時代。だが「我々はそっちに走ったらだめ」と即答する。「壊れても直せるのが木製家具の魅力。いいものを売って、その後も面倒を見続けるから信用してもらってきた」。修理の仕事はそんな顧客への恩返しだと考えている。